コラム
美容クリニックの業界は成長を続けていて、少なくとも2030年まではその傾向は変わらないと予測されています。
しかし、市場は大きくなっていても競争が激しい業界で、多くの失敗事例を見ることができます。
本記事では、美容クリニックの開業で失敗する典型的なパターンを分析することで、失敗を防ぐ方法について詳しく解説します。
美容クリニックは、整形手術やレーザー脱毛といった美容医療を専門とする医療機関で、ほとんどのクリニックでは保険適用外の自由診療だけを行っています。
ある意味でいえば実力勝負の世界であり、そこで失敗したと思える原因は明確です。
まずは、美容クリニックを開業して「失敗した」と感じる2つの大きな理由を考えてみましょう。
美容クリニックが提供する医療は、自費診療だけに結果に対する患者様の評価もシビアになりがちです。
ネットでも酷評されている美容クリニックを見ることが多いのですが、この大きな原因は「医師の技術レベル」に起因しています。
大手の美容クリニックを中心に営利要素が強すぎるためか、正しい技術を医師に指導するような風潮もないことが問題の根底にあるのかもしれません。
もし医療技術に自信があったとしても、レベルの低い医療を提供しているクリニックが多い現実があり、業界全体にとって大きなマイナス要素です。
せっかく美容クリニックを開業したとしても、あまりにも高い患者サイドの要求に応えられなければ、失敗する可能性が高まります。
誤解を恐れずに言えば、美容クリニックを利用するお客様のなかには理不尽すぎる要望を訴える方がいます。
そのような患者様に限って「伝えた希望通りにしてもらえなかった」という不満を持ちがちです。
例えば日本人のように彫の浅い顔を欧米心のような造形にして欲しいと言われたら、それは医療理論的に無理な施術を求められたと同義でしょう。
つまり、美容クリニックの開業で失敗しないためには「自分の決めた医療方針を変えない」という強い意志が求められます。
美容クリニックは自費診療が中心となり極端の審美目的の医療なので、特有の失敗パターンがあります。
もちろん一般的なクリニックにも共通する要素もあるのですが、美容クリニックで見られがちな失敗パターンを考察してみましょう。
美容クリニックに限らず開業地選びは成功を左右する大事なポイントですが、ここで躓く事例が多いのが現実です。
よく開業地選びで言われがちな要素として、「アクセスの良さ」「人口の多さ」「土地へのイメージ」が挙げられます。
もしコンサルなどから、このような単純な提案しか出ないようならコンサルが無能、または貴方のことを真剣に考えていない可能性を考えておきましょう。
確かにこの3要素はプラスになりますが、このような場所はライバルも多く家賃も高いことを考えるべきです。
自身が提供できる美容医療の質を冷静に考え、しっかりとしたビジョンを持って開業地選びをしましょう。
美容クリニックの失敗事例を見ていくと、クリニックの診療方針やコンセプトが曖昧で、患者様から見て「あえて選ぶ理由がないよね」と思われるパターンがありがちです。
当たり前のことですが、美容クリニックの開業を考えたとき市場のニーズを調べることが一般的ですが、それをやり過ぎると自分の強みを失う恐れがあります。
人の要求に応えようとし過ぎるほど、クリニックの強みや特徴を押しだせなくなり、結果的に見力の無い美容クリニックになってしまいます。
自院のコンセプトについては開業初期に明確にすべきで、そうすることでクリニックに必要な設備や人員、そして”悩ましい”開業地選びも円滑に進むはずです。
独立して自分のクリニックを持つということは、自分の理想を叶えるまたとない機会です。
ただ、美容クリニックを開業するということは成功だけではなく、全てのリスクを自分で負うということを理解しましょう。
最初から「理想の美容医療」を叶えようとしたら医療機器の購入費だけではなく、大量のスタッフを雇うなどランニングコストも青天井になってしまいます。
クリニックを開業するとき重要なのは、まずは安定期的な経営を実現することで、理想を求めるのは経営が軌道に乗ってからでも遅くはありません。
最近は絶滅危惧種となったのですが、未だに「医師」というプライドが抜けきれず患者様を下に見たような医師が存在しています。
これは美容クリニックでも見られることで、自分の施術に自信があるほど患者から不満を訴えられると患者へ怒りがちです。
自信をもって医療を提供することは素晴らしいことですが、それを患者様が分かってくれていると思うことは危険な過ちかもしれません。
特に美容医療は患者様の主観が大きな評価基準なので、施術に自己満足することなく、結果についてディスカッションするようにしましょう。
美容クリニックは提供する医療の質は当たり前に求められていて、ユーザーから評価されるのはクリニックのオシャレさや、親切な顧客対応などが重視されます。
ここでも医師としての扶持と相いれないようなきがしますが、今の時代は患者目線というのがキーワードです。
美容クリニックの開業にあたってはコンサルの力も借りるでしょうが、見た目やイメージを考えられないコンサルは時代遅れだということは知っておきましょう。
美容クリニックの開業にはいくつかの大きなハードルがあり、それを乗り越えるのは簡単なことではありません。
極端な言い方をすれば「乗り越えられて成功するか、乗り越えられないで終わってしまうか」というくらい厳しい業界です。
ただ、どのような点に難しさがあるのかを理解することで、美容クリニックの開業で失敗するリスクを減らすことができます。
そこで、美容クリニックの開業に待ち受けるハードルについて、躓きやすいポイントに絞って考えてみましょう。
美容クリニックの開業は、他の診療科と比べ多額の開業資金が必要になることが大きな特徴だといえます。
ここで問題になるのは2つの視点が必要で、一つは開業資金を準備できるのか?ということで、もう一つは調達した開業資金を返済していけるのかということです。
まず一点目の「多額な開業資金が必要」ということですが、美容クリニックの開業がそうなりがちな理由は以下の点によります。
ここで、これらの点についてより詳しく考えてみることにしましょう。
非常に難しい判断になるのですが、多くの美容クリニックの広告やウェブページを見ると最新の医療機器をアピールしていることが当たり前になっています。
それだけ美容クリニックにとって「揃えている医療機器」が大きなアピールポイントになっているということです。
つまり、医療クリニックを開業しようとした場合、そのような医療機器をできるだけ多く導入したいと考えるのも無理のないことかもしれません。
美容クリニックの場合、レーザー治療器はほぼ必須の機器となるので、最低でも2000〜2500万円程度の設備投資は必須で、上を見れば医療機器だけでその数倍が必要になります。
主な美容医療機器だけでも以下のようなものが考えられますが、自分の診療方針と照らし合わせて本当に必要なのか十分に考慮すべきです。
美容クリニックの開業を考えておられる先生であれば、聞いたことのある医療機器ばかりでしょうが、これらを網羅すれば1億円以上の開業費用になってしまいます。
事業計画に設備投資を落とし込んだうえで、これを償却できるのか(設備投資を回収できるか)をよく考えましょう。
美容クリニックを成功に導くためには、主なターゲット層となる20〜40代の女性にとって利用がしやすく、普段から馴染みのある場所に開業することが望ましいでしょう。
このメインターゲットが集まりやすい場所は、簡単に考えれば以下のような立地となります。
どれを見ても比較的大きな都市の中心部であることが分かりますが、このような立地になるほどテナント料の相場は跳ね上がります。
また良い立地になるほどライバルとなる大手クリニックがあり、俗にいうところの「レッドオーシャン」という状況です。
さらにターゲット層の嗜好を考慮すると、清潔感のあるオシャレな外観にすることも考えなければならず、外装工事などの費用も嵩んでしまいます。
美容クリニックを利用する方は、基本的に美意識が高く施設の内装なども評価ポイントとして厳しい目で見られます。
美容クリニックは医療を提供する施設であるのですが、同時にお客様へプラスアルファの満足を与える施設であることを意識することが重要です。
利用者目線で考えると内装や備品だけではなく、スリッパやペーパータオルのような消耗品であっても評価対象で、決して手を抜くわけにはいきません。
SNSの口コミがあっという間に拡散してしまうやりにくい時代ですが、美容クリニックの開業で成功しようと思ったら時代に合わせるしかないのです。
美容クリニックの開業には多額の資金が必要であることが理解できたと思いますが、その点だけでもハイリスクだといえます。
一方で成功している美容クリニックの事例をみれば、そのような設備投資を回収できるだけの集客と収入を上げているので、上手くいきさえすればハイリターンな診療科です。
つまり成功と失敗の落差が激しいのが美容クリニック業界で、博打とまでは言いませんがハイリスク&ハイリターンであることだけは間違いありません。
美容クリニックの開業にあたっての難しさは分かったとして、それを上手く考えられなかった失敗事例を見れば、反面教師として学ぶべきポイントが分かってきます。
美容クリニックの開業で失敗する事例で多いのが、成功事例をそのまま自身の事業計画に投影して破綻するケースです。
「美容クリニックの平均収入はこれくらいだから・・・」という激甘な見込みを事業計画に落とし混んでしまうと、あっけなく資金ショートしてしまいます。
また、医療機器メーカーや工事業者と組んでいる悪いコンサルに唆されて、多額の設備投資をしてしまうケースもあるようです。
美容クリニックの開業にあたって何より大事なのは、実現性の高い事業計画を考え実行することで、初期投資の過多ではなく計画の実現性こそがポイントとなります。
美容クリニックの評判に直結するのが「スタッフの質」で、SNSで悪い口コミを書かれている美容クリニックの大半がスタッフ関係のものです。
最近は人手不足が急にクローズアップされ、スタッフを揃えるのが大変な作業になっています。
また、人手不足は「働く人が働く場所を選ぶ」という売り手市場となるので、職場の雰囲気が悪かったり待遇に問題があったりすると、驚くほどあっさり辞められてしまうでしょう。
こうなってしまうと悪循環で、頭数を揃えることを優先すると質の悪いスタッフが増え、さらに定着率が下がってしまいます。
こうしたスタッフ問題が発生すると、本来集中したい経営実務や医療行為に時間を割けなくなってしまい、結果的に患者離れを招いてしまいます。
最初にも説明したとおり、クリニックのコンセプトが明確ではなく強みをアピールできないと集客に苦戦することになります。
これは開業前に考える医療方針と密接に関係していて、自身のやりたい医療をしっかり考えておくことが重要です。
何となく大手美容クリニックと同じコンセプトを打ち出しても、知名度や広告戦略の差で勝てるわけはありません。
どの業種でも言えることですが、大手と差別化する強みのアピールこそが成功の絶対条件です。
ここまで美容クリニックの開業に付きものの失敗理由を見てきましたが、これらの点を対策することが成功するための秘訣です。
そこで失敗原因を極力回避しながら、美容クリニックの開業で成功するためのポイントについて解説します。
美容クリニックの開業準備は、オープン日から逆算して1年以上前から始めるのが一般的で、ここで決める内容が成功の成否を握っているといえます。
開業準備の中でも、以下の判断は美容クリニックにとって集患数に直結するので慎重な判断が求められるポイントです。
準備項目 | 概要 |
経営理念・診療方針の策定 | 美容クリニックの運営に当たって「幹」になる部分です。背伸びせず出来る範囲で理想の医療を考えましょう。 |
開業地と開業形態を決める | どこで美容クリニックを開業するのかと、テナントか自己所有物件かを考えます。かなり重要なポイントとなるので、判断には相当な根拠が必要です。 |
事業計画書の作成 | 美容クリニックの開業に必要な資金と、開業地による集患数の予想をたて、事業として成り立つのか試算します。 |
具体的な物件探し | 意外と苦戦するのが物件探しで、開業地が良かったとしても物件によっては思ったような集患が見込めないこともあります。 |
事業資金の調達 | 美容クリニックの開業資金を自腹で賄うのはほぼ不可能です。確かな事業計画書をもとに金融機関と折衝します。 |
スタッフの採用 | スタッフの採用は、ここ数年で難易度が一気に上がりました。利用者の評判に直結する大事なポイントです。 |
これ以外にも行政手続きなど面倒な作業が多く、医師が自分でやることは不可能ではないにしても、「やるべきではない」といえるものです。
美容クリニックの開業にあたっては、医師あるいは開業を志す者が”やらなくていい作業”は人に任すのが正解だといえます。
どのようなスタッフを採用するのかは、美容クリニックの雰囲気を左右する重要ポイントで、SNSなどの口コミに直結する重要なポイントです。
ただ、これからクリニックの開業を考えている場合、スタッフの募集が大きな難関になる可能性があります。
医療に従事している方であれば「看護師不足」は身近に感じていると思いますが、最近では受付を始めとした一般スタッフの採用もままなりません。
美容クリニックのスタッフ採用は、従来言われていたような悠長なスケジュールではなく、かなり余裕をもった採用計画にすることをオススメします。
美容クリニックの開業には、医療以外の作業が多くかなり負担の大きいもので、外部の力を上手く使うことが成功のポイントです。
ただ、コンサルにも様々なタイプがあり、なかには騙されるような事例もあります。
「優良なコンサル」を探すことは言うほど簡単なことではないので、ぜひ検討して欲しいのは「どのようなコンサルが必要なのか?」ということを、クリニック開業に強みをもつ専門家の活用で、medi-tax株式会社にご依頼いただくことです。
実際に依頼するかどうかは、弊社の行っている無料相談後に考えれば良いことなので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
美容クリニックの開業は、一部では「一攫千金のギャンブル」的な言われようをしています。
しかし、実際には確かな美容医療を提供していれば確実なリターンのある医療分野です。
ただ、気を付けるべきは悪徳コンサルの存在で、そんなリスクを回避するためにも一度medi-tax株式会社にご相談ください。